CT画像(2D画像)からボクセル(3Dデータ)を作成


CT画像からボリュームレンダリングへ          (2010/07/20)


医療分野では、CTやMRI等の装置が利用されてきましたが、X軸、Y軸方向からなる2D画像が主流
の様に思われます。 2D画像をZ軸方向に積層して、3Dデータ(ボクセル)を構築し、処理することは、
多くの可能性を期待できますが、高性能な計算処理能力を必要とすることがネックになります。
多値の3次元データ(Voxel)を対象とした、高速ラベリング処理(6連結、18連結、26連結)


はじめに

医療画像データを提供しているサイトがあるので、公開されているデータを少し触ってみようと思います。
折角ですから、2Dデータから3次元のボリュームデータを作って、アクセスしたいのですが、3次元データ
の位置を計算するには、計算量(掛け算)が多くなり、算出コストがかかってしまいます。
実行時にデータの大きさが判明する、動的3次元配列に効率よくアクセス出来るように、ダイナミック配列
を作成するテクニックも使ってみたいと考えています。
※この手法で、三次元のラベリング処理(labeling:Connected Component Analysis)も高速化出来ます。


CT画像の連続表示



オリジナルのCT画像を連続的に再生した例


頭部の頭頂部から、喉に向かっての画像


See Also.
The Stanford volume data archive

https://graphics.stanford.edu/data/voldata/


CT画像から3次元のボクセルデータを構築、異なる方向のスライス画像を作成

上記の2DのCT画像から3Dのボクセルデータを
構築して、特定スライス面の抽出


正面(顔の前面)から、後方(頭部)の方向
向かっての画像を抽出した例


ボリュームレンダリング

2次元画像では、連結領域の認識にラベリング処理を行いますが、3次元の対象物の連結性の
解析
にも、ラベリング処理が利用できると考えています。  当方で使用している高速ラベリング
処理アルゴリズムは、ラスタースキャン方式を採用していますので、3次元への拡張は容易に
行うことが出来ます。  画像マニュピレーション機能と組み合わせれば、特定部位の大きさや
容積、及び形状の判断も簡単に行えると考えています。 時間的に連続したボリュームデータが
あれば、時系列処理も可能となります。
対象ボクセルと、周辺ボクセル(26ボクセル連結、18ボクセル連結、及び6ボクセル連結等)
の連結性を基にラベリング
、そして計測まで進める事により、より高度で正確な判断が可能に
なりますので、新たな領域への進出をも可能にします。

ご協力頂ける方がいましたら気軽にお声掛け (vision@cryst.tv)下さい。お待ちしています。
(ソースコード、人的支援、開発ツール、機器、資金、助言等どのような支援でも助かります)。




ダイナミック3D配列のアクセス方法 (Cによる可変配列)

ボリュームレンダリング等で、3Dデータを扱う時は3次元データを3次元の配列として扱うと便利な
場合が多く、下記プログラムは、連続したボクセルデータを、lx、ly、lz の3次元配列 voxel[z][y][x]
としてアクセス出来るようにインデックスを生成します。 任意の動的多次元配列でも同様です。
静的に配列を確保した場合、配列へのアクセスはコンパイラが処理(コンパイル時に計算)します。
インデックス作成関数 alloc3D (リンク先は、alloc2Dを含む)の使い方を以下に示します。
また、このプログラムは、BSDライセンスに従い公開しています。

alloc3Dは、既存の連続データに、配列としてのアクセスを可能にするインデックスを生成します。
新規に3次元配列を動的に確保したい場合は、allocArray.hをインクルードして下さい。

alloc3D()、alloc3Darray()、calloc3Darray()、malloc3Darray() (2D関数を含む)が利用可能になります。

#include<stdio.h>
#include <stdlib.h
/*
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  可能性を知らされていたとしても、本ソフトウェアの使用によって発生した(代替品または代用
  サービスの調達、使用の喪失、データの喪失、利益の喪失、業務の中断も含め、またそれに限定
  されない)直接損害、間接損害、偶発的な損害、特別損害、懲罰的損害、または結果損害につい
  て、一切責任を負わないものとします。
*/

void ***alloc3D( void *data, int sizeOfUnit, int lx, int ly, int lz )
/**  連続したボクセルデータを、lx,ly,lz の配列としてアクセス出来るように初期化
void *data: 3Dデータ(ボクセルデータ)の格納場所 原点からX軸方向のデータが LX個
            連続して格納されている。この並びで LY個のデータが配置され、1画面(2D)
            分のデータが格納されている。この塊が、LZ個並んで全ボクセルデータが
            記録されている。
int   sizeOfUnit: 1ボクセルを構成するデータのバイト数
int     lx: X軸方向のボクセル数
int     ly: Y軸方向のボクセル数
int     lz: Z軸方向のボクセル数
*/

{
register void   ***d ; // 作業用の一時変数

//  if ( sizeOfUnit<1 || lx<1 || ly<1 || lz<1 ) return NULL ;     // 引数チェック
    if ( (data==NULL) || (sizeOfUnit<1) || (lx<1) || (ly<1) || (lz<1) ) return NULL ;
    if ((d=(void ***)malloc((lz*ly+lz)*sizeof(void *))) == NULL) {// インデックス領域
        return NULL ;  // インデックス領域の確保に失敗
    } else { // 確保したメモリー上に、配列アクセス用のインデックスを初期化
        register int  i, s=sizeOfUnit, llx=lx, lly=ly, llz=lz, lyz=lly*llz ;
        register void **area=(void **)&d[llz], *base=data ;
        for( i=0; i<llz; i++ )    d[i] = &area[lly*i] ;
        for( i=0; i<lyz; i++ ) area[i] = (void **)((unsigned char *)base + llx*s*i) ;
    }
    return d ;

}


void reverse( int ***array, int lx, int ly, int lz ) // 2010/08/12
/**  確保した動的配列をサブルーチンで使用する例 (配列の型は確定している事。この例ではint型)
int ***array: alloc3D で初期済みの3次元配列のインデックスへのポインター
int       lx: X軸方向のボクセル数
int       ly: Y軸方向のボクセル数
int       lz: Z軸方向のボクセル数
*/
{// 'array' と '&array[0][0][0]' は全くの別物。混乱しないように注意する事
register int   ***d=array, x, y, z ;

    for( z=0; z<lz; z++ ) {
        for( y=0; y<ly; y++ ) {
            for( x=0; x<lx; x++ ) {
                d[z][y][x] = ~d[z][y][x] ; // データの反転処理
            }
        }
    }
}


int processing( int *data, int lx, int ly, int lz )
/**  処理プログラムのサンプル
void *data: 3Dデータ(ボクセルデータ)の格納場所 原点からX軸方向のデータがLX個
            連続して格納されている。この並びでLY個のデータが配置され、1画面(2D)
            分のデータが格納されている。この塊が、LZ個並んで全ボクセルデータが
            記録されている。(今回、ボクセルは int 型のデータとする)
int     lx: X軸方向のボクセル数
int     ly: Y軸方向のボクセル数
int     lz: Z軸方向のボクセル数
*/
{
register int   x, y, z, v ;
register int   ***d ; // ボクセルデータを表す変数(未初期化状態)

    // lx*ly*lz 個のデータを配列としてアクセス出来るようにメモリーを確保して
    // インデックス情報を作成する。(ボクセルが構造体の場合は、構造体の大きさを渡す)
    if( (d=(int ***)alloc3D( data, sizeof(int), lx, ly, lz)) == NULL ) {
        fprintf( stderr, "alloc3D error.\n" ) ;
        return(1) ;
    }


    // 動的3Dデータ(lx,ly,lzで呼ばれる)を配列として扱う事が可能になる
    // 空間の濃度計算には、最低8ボクセルにアクセスが必要、コストは大きい
    // 座標 x,y,z のボクセルデータを呼び出すアドレス計算時に掛け算の処理を省く
    for( z=0; z<lz; z++ ) {
        for( y=0; y<ly; y++ ) {
            for( x=0; x<lx; x++ ) {
                v = d[z][y][x] ; // 配列(d[z][y][x]) のデータにアクセス
            }
        }
    }

    // 確保した動的配列をサブルーチンで使用する例 (補足情報: 2010/08/12)
    reverse( d, lx, ly, lz ) ;


    free(d) ; // 確保したメモリーを解放する
    return 0 ;
}


int  dataRead(char *fname, int lx, int ly, int lz)
{// read volume data lx * ly *lz  サンプルプログラム
void *source ;
FILE *fp ;

    // |<---------------------------- lz------------------------------------->|
    // |<--------------ly------------------>|<-------- .. ly ..------>|......
    // |<---lx--->|<---lx--->|...|<---lx--->|<---lx--->|...|<---lx--->|......
    //  d0 d1...dn.....................
    if( (source=malloc(lx*ly*lz*sizeof(int))) == NULL ) {// 連続した3Dデータ用のエリア
        fprintf( stderr, "malloc error.\n" ) ;
        return 1 ;
    } else if( (fp=fopen(fname, "rb")) == NULL ) {// 3Dデータファイルのオープン
        fprintf( stderr, "open error.\n" ) ;
        free(source) ;
        return 1 ;
    } else if( fread(source, lx*ly*lz*sizeof(int), 1, fp) != 1 ) {// 3Dデータの読み込み
        fprintf( stderr, "read error.\n" ) ;
        free(source) ;
        return 1 ;
    }

    processing( source, lx, ly, lz) ; // 動的3D配列を扱う処理例

    free(source) ; // 確保した作業エリアの開放
    return 0 ;
}


補足情報

構造体で構成されているボクセルにアクセスする例

3次元データの処理例  Update!!

3次元の多値データを対象とした、高速ラベリング処理(6連結、18連結、26連結)


最後に

ボクセルデータは非常に大きなエリアを必要とします。 C99 で可変配列がサポートされましたが、
ヒープエリアにメモリーを確保する処理系なら問題は無いかも知れませんが、スタックにスペース
を確保する処理系の場合は、まず破綻するでしょう。 今回提示している方法は、ヒープエリアに
インデックスを作成します。また、RAWデータ自体も事前にヒープエリアに確保されていると思い
ますので、問題なく利用できるはずです。 もちろんRAWデータは mmap()を利用して、全領域を,
メモリ空間に割り当てている場合でも支障ありませんので、汎用性は非常に高いと思います。
ボリュームレンダリングに代表される、これらの処理は多くのコンピュータリソースを使用します
し、GPU等の支援も必要になります。また、ボクセルデータを使って有益な作業を行う場合いは、
多くのコンピュータコード(プログラム)を必要とします。先に文中でも触れましたが、開発支援
にご協力頂ける方を募っております。もし、サポートを厭わない方がいらっしゃいましたら、気軽に
お声掛け下さい。 vision@cryst.tv までご連絡頂ければ幸いです、どうぞ、宜しくお願いします。
(ソースコード、人的支援、開発ツール、機器、資金、助言等どのような支援でも助かります)




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