人間が最初に物を見るときは、写っている物の全体像を把握しようとします。
次に、画像中の興味のある部分に関心が移り、その部分を正確に把握しようとします。
この時、興味のある部分以外の部分の認識は著しく低下しますが、興味を持った部分の認識力は瞬時に高まります。
この2値化処理が目標としているのは、初期の全体を把握する事です。
つまり、原画(情報量の多いカラー画像)を見た瞬間に受ける印象と同じあるいは近い印象を、情報量の少ない2値画像で
伝える事にあります。 特徴を保持するには画像にメリハリをつけますが、同時に細部の正確性を捨てる必要が生じます。
2値データを使って画像情報を伝える方法にディザ方がありますが、これは空間の色密度を変化させる事で、擬似的な
濃淡画像を生成する事により認識力を上げる手法であり、今回の方法とは全くの別アルゴリズムになります。
白い画用紙にマジックで絵を描いて人に情報を正しく伝える事と、同等の処理を行いたいと言ったほうがわかり易いかも
知れません。 この2値化した画像は、低解像度の2値ディスプレイ(コンピュータの黎明期に存在した過去の遺物)でも
精度良く情報を伝える事が期待できますので、新たな分野での利用が考えられます。
比較の為に、閾値指定して2値化した画像と、画像の識別の基準となるエッジを canny法により抽出し2値化した画像を
用意しました。 (各画像をクリックすると、原寸サイズの画像が表示されます。)