画像の領域分割  (Part of segmentation)


デジタル化された画像から、同一の特徴を持つ部位を抽出  (2016/02/01)


はじめに

画像の中から対象物を分離するのは、事前に予備知識がない状態からでは決して容易な
処理ではないが、自動で判断を行うには避けては通れない関門であると考えている。
複雑な認識の可能性を検討すると、あらためて生物の視覚機能の優位性に驚かされる。


認識方法に関して

画像(写真)の中に映っている対象を判断する事を考えた場合、1枚のデータに対して
結果をだす事にとらわれ過ぎていた感がある事は否めない。
人であれば、全体を一瞬で把握でき、更に興味のある部位を特定し、より詳細な情報を
得る事が出来ると同時に、画像上には存在しない情報も得る事が出来る。
例えば、二人の人がボトルのワインを飲みながら、話をしている写真に対し、どちらに
窓が有りますかと質問をすることを考える。
当然、写真には窓は映っていない、この状態では窓は有りませんと判断するが、人なら
"窓"⇒ "光"⇒"影"⇒"ワインボトルの影、人のグラデーション"から、”写真には写って
いなが左の方にあると思います。”と回答するかも知れない。
また錯覚を起こすような画像、見方を変えると別の物がみえた来たり、存在しない図形が
認識(疑似輪郭により想起される図形等)される場合も考慮すると、デジタル化、同一性
の抽出、同一性部位の連結、及び連結部位と意味のマッピング機能、等に、処理をレイヤ
分割し最適化する事で、より良い結果(判断)を得る可能性を検討し試みる。


視覚モデル

複数のレイヤからなる認識処理を考えた場合、下記の様なレイヤを想定する

layer 0 アナログデータをデジタルデータに変換。(コンピュータ処理用)
レンズ、カメラ、メモリ(画素単位)
layer 1 同一特徴を持つ連続領域(blob)分割(領域識別子付与処理を含む)
フレーム毎の、画素(pixel)、塊(ブロブ:blob) 変換(領域内特徴量計測を含)
layer 2 layer 1 の blob をオブジェクト(グループ)(blobの仮想分割を含)
オブジェクト と 1つ以上の”意味” の仮マッピング (参照データは別途規定)
(マッピング情報として、”無意味”も重要な意味)
layer 3 オブジェクト と ”意味” のマッピング(複数フレームデータの相関処理を含)
 ”意味”に対する尤度の算出
layer 2 へのヒント付き処理リクエスト生成&依頼
layer 0 コントロール(取得位置、焦点、被写界深度等の制御)
layer 4 TBD (layer 4 or higher)


領域分割(Blob化)

各画素に対して、色や、特徴が一致又は似通った部分を塊(Blob)として抽出する。対象、
非対称が、同等の特徴量を持って接している場合も、分離等は試みず ”あくまで1つの塊”
(Blob)として、抽出する。 (同等:同一か、十分に同一とみなせる程度の差)

本コンセプトに基づいて、Blob化手法を検討し、評価した結果を下記に示す。

cat_std
ラベリング済み
・領域の大きさ
・平均色、重心
・包括関係
等の把握が可能
原画に対して、領域分割処理を行う

処理内容(基本)

・画像を読み込み自己判断する
 (補助情報を提供しない)
・ある程度の大きさで抽出される
 非常に細かい領域として、分割
 される場所は、テクスチャー情報
 を表しているので、上層のレイヤ
 で処理、現時点では無視する

・単一領域であり且つ、他の領域内
 に完全包括されている場合は、
 包括している領域(上位)に統合
 (本画像: 初期分割数 5万以上)
図1、猫(HINA)の原画



分割境界が、
人の認識と
”近い”
事が重要
対象、非対称が同じか、非常に近い
色情報を持つ時は分離出来ない
(これは正しい結果)、Blobの仮想
分割は、上層のレイヤでの処理
cat_loop1ave 原画に対する

同属域抽出処理


処理 1 回目
cat_loop1blob
図 2、抽出領域毎の平滑化 A 図 3、抽出領域の疑似カラー表示
cat_loop2ave 平滑化画像 A

に対して、再度

同属域抽出処理

を施す(2回目)


cat_loop2blob
図 4、抽出領域毎の平滑化 B 図 5、抽出領域の疑似カラー表示
cat_loop3ave 平滑化画像 B

に対して、再度

同属域抽出処理

を施す(3回目)


cat_loop3blob
図 6、抽出領域毎の平滑化 C 図 7、抽出領域の疑似カラー表示
cat_loop4ave
平滑化画像 C

に対して、再度

同属域抽出処理

を施す(4回目)


強制的に、近い
特徴の Blob を
統合はできるが
テクスチャー、
複雑さ等の情報
は失ってしまう
cat_loop4blob
図 8、抽出領域毎の平滑化 D 図 9、抽出領域の疑似カラー表示

無理やり特徴の近い部分を結合させても、所望する境界部分の安定性は保持されている。



終わりに

コンピュータの性能が著しく向上しているので、今までは検討対象外の手法も、十分
検討に値する様になった事の意義は大きいと考えるが、同時に誰もが簡単に従来では
出来なかった事が出来るようになったのも事実である。




go to TopPage go to CategoryTop