X腺の投影映像から断層映像を再合成


X腺を用いた画像処理例               (2010/06/12)


医療分野では、古くからX腺を用いた装置が利用されてきましたが、非破壊検査の需要の高まりや、
今日では食品の検査まで、X腺を用いた装置が様々な分野で広く利用され始めています。
病院でレントゲン撮影や、CT(Computed Tomography)検査を受ける機会も増えていますので、少し
CTにふれてみます。


はじめに

映像データ用入力素子の種類
入力素子のタイプには、ラインセンサーと、エリアセンサーがあります。
ラインセンサーは、光の受光部が一列に並んだ構造をし、一度に1ライン分のデータを取り込めます。
エリアセンサーは、光の受光部を2次元の配列構造に配置し、一度に2次元のデータを取り込めます。
ラインセンサーは、センサー又は、対象物を移動させる事で連続した巨大なデータを取り込めますが、
時間的なズレを生じてしまいます。エリアセンサーでは、取り込むデータは時間的に同じタイミングの
状態を取得できますが、同時に取り込めるデータの大きさは固定されてしまいます。
ラインセンサーは、構造がエリアセンサーより簡単なので、より大きな(高解像度)データを取得する
デバイスに用いられます。それぞれの特性を理解したうえで、用途に合わせてデバイスを選択します。

X線撮影
X線撮影には、ラインセンサーを用いる方法と、エリアセンサー(フィルム含む)を用いる方法があります。
エリアセンサーを用いる例としては、レントゲン撮影(胸部、腹部等)があります。ラインセンサーを用いる
例としては、空港の機内持ち込み品のX線検査等があります。
断層撮影をする為のX腺CT装置は、線源から放出されたX腺をラインセンサー型の受光素子で検出し、
コンピュータでデータ処理する事により、2次元の断層映像を再合成しています。
不思議かも知れませんが、ある特定の場所を 360°の方向(360枚とは限りませんが、撮影
枚数が、多ければ、より精度の高い断層映像を合成できます)から撮影したデータがあれば、
コンピュータで処理すると、対象物を輪切りにした画像を作り出す事が出来ます。

より高速化のニーズに応える場合では、ホーン型の腺源を使用し、2次元のシンチレータを介して
エリアセンサー型の受光素子で一度に広範囲のデータを取得するタイプの装置もあります。
現在では、エネルギーレベルの異なるX腺(硬いX腺と軟らかいX腺)を同時に用いて、材質の違い
(例えば、砂糖と塩)を判断できる装置も開発されています。


ラインセンサー型の検出器とX腺源

ここでは、ラインセンサー型の検出器とX腺源を使用して、断層映像の合成をします。
この例では、台にタングステンピンが垂直に固定されているのもを使用しています。


 1、X線を用いた全体投影画像の撮影

エリアセンサー型の受光素子を利用した装置でしたら、瞬時に投影画像の撮影は行えますが、
ラインセンサー型の受光素子を利用した装置では、撮影場所を少しずつずらして、最終的に
全体の投影映像を得なければならないので、時間がかかるのと同時に対象物が静止している
必要がありあます。
図1の投影画像は、 586回場所を少しずつずらして作成しています。
ラインセンサーからのデータは 2294画素、586回位置をずらしているので、2294x586 画素、
の画像になっています。

図 1
対象物の全体像を X線 により投影した画像



 2、断面データの再構築用に、サイノグラム(Sinogram) を取得

ラインセンサーで取得する投影データ(計測データ)、と2次元の断面データ(実体の断面)の相関は、
ラドン変換式で表せますので、サイノグラム(注1)を取得すれば、算術処理により2次元の断面
データ(断面画像)を再合成できます。 ラドン変換に関しては、google 等で調べてください。
  ・タングステンピンを固定した、支持台の上方部に計測ポイントを設定します。
  ・高さを固定した状態で、対象物乗せたターンテーブルを 1°刻みで 360°回転させながら、
     平行投影データを撮影し、サイノグラムを作成します。 (センサーからのデータは、1860画素)
    ・取得したサイノグラムを確認出来るように、画像 図2、に変換します。
     (1860x360画素の jpeg 画像に変換)

   (注1)サイノグラムは平行投影データを投影角度の順に並べた2次元データです。


図 2
Sinogram

全体投影像の上部、タングステンピン部を
360度スキャンし作成したサイノグラム


注意: 図1の撮影とは異なり、高さは一定に保持



 3、サイノグラムから、元の断層画像(Tomogram)を再合成

サイノグラムから逆投影画像(断面画像)を作成します 図3。
ここでは単純な変換のみを行っているので、変換時に生じるボケの除去処理は行っていません。
周波数境域でのフィルター処理によりボケは除去出来ますが、簡易的にはコンボリュージョン
(畳み込み演算)でもある程度は期待できます。

図 3
Tomogram (断層写真)

サイノグラムより再構成されたCT画像

空間フィルター処理なし




最後に

一般の人がCTを利用する事は無と思いますが、参考までに公開します。
実際の利用では、各層毎に再合成した2次元画像を積み重ねて、3次元情報にしたボクセル
データ
を利用するケースの方が多いかも知れません。計測では、ラベリング処理等を行います。
高性能コンピュータの普及により、今後ボクセルデータの利用ニーズは劇的に増加すると考え
られますが、ソフトウエアの供給が十分で無い事が課題かもしれません。

このコンテンツが、コンピューター画像処理の分野に、興味を持つきっかけとなれば幸いです。




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